Widmann, Bruckner, Sym.5, Kento Nagano, DSO@Philharmonie

前半はクラリネット奏者でもある作曲家Widmannの3作。タッピングで開始する第1曲では観客に戸惑いも見られたが、2曲目のソロでジャズ風のメロディがあるかと思えば、3曲目はメシアンや武満も思い起こさせるような静かで色彩豊かなオーケストラ協奏曲で語法も多彩。ソロ楽器がグラス・ハーモニカとアコーディオンと言うあたりも音色のセンスが良い。そして、とにかく本人のクラリネットが上手い。特殊奏法にも色彩感や旋律感がある。(http://www.dso-berlin.de/content/e43/e272/index_eng.html?ACTION_OPASCALENDAR=displayEvent&eventId=30483&eStart=20.00&eDom=roc&oy:int=2010&year:int=2011&eDate=2011.02.28&month:int=02
後半はブルックナー交響曲第5番。ともすれば前のめり、大音量になりがちなオーケストラを指揮者が必死で落ち着かせていた1楽章から一転、2楽章ではケント・ナガノのうなり声が客席まで届く熱演。落差の大きい強弱や、3楽章のスケルツォのリズムの遊びも忘れない。難所でのアンサンブルのばらつきや、トランペットのトップの不安定さと音色の一様さなどの瑕疵を忘れさせてくれる。ホルン、フルートをはじめとして他の管楽器のソロは集中力を見せていた。低弦に支えられた弦楽器の音色は、他の指揮者の時にはない独特の厚みがあった。2000〜2006年にかけてのオケとの充実した関係は継続しているようだ。ミュンヘンでの《子供と魔法》も聴いてみたくなってしまう。