Nachtmusik adapter@RadialsystemV

 旧東ベルリンの中心地・アレクサンダープラッツからさらに東へ自転車で5分ほど、電車ではベルリン東駅(Ostbahnhof)から歩いて3分程度のところに、RadialsystemV~New Space for the Arts in Berlin~というコンサートホールがある。(http://www.radialsystem.de/rebrush/pix/1p.gif
 ホールと言っても、フィルハーモニーのようなクラシック専用のものではなく、むき出しのコンクリートに鉄筋で観客席を組み立てた小劇場のような趣。リゲティシュトックハウゼンなどの第2次大戦後の現代音楽シリーズに魅かれて足を運び始めたが、9月から住み始めたベルリンの中でもお気に入りの場所の一つとなっている。ダンス好きの方ならサーシャ・ヴァルツが拠点としているホールと言えばピンと来るのではないのだろうか。
今日はアンサンブル・アダプターというフルート、バスクラ、ハープ、ピアノ、打楽器を中心とした室内楽アンサンブルによるFranco Donatoni (1927-2000)の器楽ソロ曲の演奏会を聴く。

Soft :Due pezzi per clarinetto basso (1989)
Marchs:Due pezzi per arpa (1979)
Midi: Due pezzi per flauto (1989)
Omar: Due pezzi per vibrafono (1985)

Flöte: Kristjana Helgadóttir
Bassklarinette: Ingófur Vilhjálmsson
Harfe: Gunnhildur Einarsdóttir
Vibraphon: Matthias Engler

Nachtmusik(夜の音楽)という、観客が会場に敷かれた赤いマットに寝そべって聴くシリーズの一環で、会場の4隅で順に演奏する楽器の音が天井を見上げながら聴いていると、足の方や頭の上方から音が聴こえて来るので、時たま水平感覚を失ってしまう。終わった後、別のコンサート会場で一度話したことのあったバスクラ奏者に聴いたところ、もちろんこの聴き方は作曲家の指定ではなく、「僕は座って聴きたいけどね…」と笑っていた。Donatoniの曲は生で初めて聴いた。ソロ楽器の可能性の追求からもルチアーノ・ベリオ(1925-2003)らと同時代に生きていたことを伺わせるが、《ゼクエンツァ》との差異をもう少し良く聴き比べなければ、というのが一聴後の素朴な感想。

9月よりベルリンに留学し、以前の同名ブログ(http://fumito.blog.so-net.ne.jp/)が使えなくなったのでこちらに移動。ベルリンは少し暖かくなり、歩道が久々に顔を出している。