PHASEII, THE ALL ONE ALONE, Frank Scheffer@Kurbel

再びMusik-Film‐Marathonへ。今日は、フランク・ザッパのドキュメンタリーPhase II(2002)とヴァレーズのドキュメンタリー(2009)。

一本目は、ザッパのLPコレクションやTV出演映像などをふんだんに使い彼の一生をたどったもの。ブーレーズもインタヴューに出ていた。
二本目は、ヴァレーズに師事した中国出身の作曲家Chou Wen-chungを主要な導き手としたドキュメンタリー。《アメリカ》に始まり、《砂漠》、《アンテグラル》から歌曲まで、音楽はもちろんヴァレーズ。インタヴューの合間に、ニューヨーク、ベルリン、パリなどの大都市、中国の河やメキシコ砂漠、波や森などの自然の映像などがコラージュされる。《アメリカ》のサイレン音のバックに消防隊の映像を重ねるセンスなど、ところどころついていけない瞬間もあったが、全体はヴァレーズ入門としても、ヴァレーズ好きにとっても満足いくものに仕上がっている。
特に、63年のブリュッセル万博で映像つきで上演された《ポエム・エレクトロニク》の、オリジナル映像の断片が目を引く。もともとは、クセナキス設計のパヴィリオンで、ヴァレーズによる電子音とオーケストラがミックスされた音楽で上映されたもの。リュットマン風の抽象映像かと思いきや、残っている断片はサルやメキシコの彫像などかなり"primitiv"な要素が多かった。スパイラル形の銀河系などの映像もあった。
Frank Scheffer監督が会場に来ており、13歳のときにヴァレーズの音楽と出会ったエピソードを熱く語っていた。ヴァレーズ以外にも、べリオの《シンフォニア》を扱った『シチリア島への旅』や、ブーレーズ、ケージらのドキュメンタリー映画も手掛けている。シュトックハウゼンの《ヘリコプター・カルテット》のDVDも彼の製作。その全ての作品は、ヴァレーズの音楽との出会いへ遡るほど、彼の音楽は強い印象を与えたそうだ。

上映後にうかがったところ、例のオリジナル映像はアムステルダムの資料館にあるが、自分でも持っているとの事。音楽と映像の同期や、クセナキス設計のパヴィリオンでの上映形態がはっきりと分かっておらず、映画には権利上の収められていないが、音楽とのシンクロをまだ個人的に試してみているらしい。そんなもの持ってたら、いろいろ試してみるよなぁ。

ヴァレーズの資料としては、Sacher-Stiftungの遺稿に基づく展示のカタログが充実している。シャイーの全集も良い。

Varese: Complete Orch Works

Varese: Complete Orch Works

  • アーティスト: Edgard Varèse,Edgar Varèse,Riccardo Chailly,Amsterdam Concertgebouw Orchestra,Asko Ensemble,François Kerdoncuff,Sarah Leonard,Mireille Delunsch,Prague Philharmonic Choir
  • 出版社/メーカー: Gramophone
  • 発売日: 2004/02/09
  • メディア: CD
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Edgard Varese: Composer Sound Scuptor Visionary

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