Jean-Louis Agobet@明治学院大学アートホール

アルバン・ベルク協会の特別例会を聞いてくる。フランスから来たJean-Louis Agobet(アゴベ)によるインタヴューと演奏会。演奏は、東京シンフォニエッタ。演奏の質がとても高く、複雑な構造と明晰な響きが同居する作品の魅力を良く引き出していた。プログラムは以下の通り。

チェロとピアノのための《Leben》(2009、日本初演
フルートと打楽器のための《Spectre》(2008、日本初演
二本のクラリネットとピアノのための《Les Ombres dansent》(2006、日本初演
《エクリス、五重奏のための》(2007−2008、日本初演

特に、ピアノを挟んで2台のクラリネットが演奏する《Les Ombres dansent》は、分散和音のやり取りやユニゾン、またユニゾンのなかでのアタックの差を強調したり、クラリネットの響きを共鳴させるためにピアノを使ったりする難曲だが、響きが溶け合うところは完全に溶けあい、ぶつかるところは明確にぶつかる素晴らしい演奏だった。演奏は板倉康明さんと西澤春代さん。

アゴベは、恥ずかしながらこの会で初めて知った。調性的な響きへの回帰でもなく、戦後前衛的な響きへも固執しない瑞々しい音楽だが、度肝を抜かれるような新しさがあったかと言われると難しいところ。現在、ジャック・アタリがエピローグを書いたオペラ(台本は本人が執筆)を作曲中で、2014年に完成予定とのこと。覚えておきたい。