ベルリンでまた新たな楽しみが・・ コンチェルトハウス・オーケストラ,イヴァン・フィッシャー指揮@コンチェルトハウス大ホール

クルト・ザンデルリンクの生誕100周年のイヴェントのオープニングを飾ったのは,今シーズンから新たに音楽監督に就任したイヴァン・フィッシャー指揮によるコンチェルトハウス・オケの記念演奏会。ブラームスハイドンの主題による変奏曲,モーツァルトピアノ協奏曲変ホ長調ソリスト:Jonathan Biss)が前半,後半はリヒャルト・シュトラウスばらの騎士》よりワルツ,《ティル》,《サロメ》の七つの踊り。

新シェフのイヴァン・フィッシャー,ブタペシュト祝祭管弦楽団での活動がまず思い浮かぶが,切れのあるテンポのなかで,繊細なバランスとフレージングによる好演を聞かせてくれた。昨シーズンまでとは,弦の音の印象が特に大きく違う。こんなにアンサンブルとかバランス良かったっけ…。

地元の批評では、「官能性に欠ける」みたいな批判も出ていたが、そういった趣味上の、また様式上の批判を出せるまでにクオリティーが上がったことの裏返しかと。ヤノフスキ=ベルリン放送響と並んで楽しみが一つ増えた。

Musikfest Berlin 2012

引越を終え、最近はベルリンのMusikfestに通っている。今年はケージ生誕100年を記念してアメリカ特集。オーケストラってこんな音するんだっけ…と改めて驚く日々。

4日のコンセルトヘボウ/ヤンソンスhttp://www.berlinerfestspiele.de/de/aktuell/festivals/musikfest_berlin/mfb_programm/mfb_veranstaltungsdetail_41207.php)に続き、今日はセントルイス交響楽団/ロバートソン(http://www.berlinerfestspiele.de/de/aktuell/festivals/musikfest_berlin/mfb_programm/mfb_veranstaltungsdetail_41208.php)。カーター、ガーシュインといったお国物を大音量で響かせまくるだけでなく、ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲も、緻密かつ自由にじっくり聴かせてくれた。

明日からはアイスラーのシンポジウムに行く。こちらは没後50年(http://www.hanns-eisler.com/index/index.php#Titel)。8日には、映画音楽と書簡の部分の全集編纂に関する報告もある模様。

最近の買物。

展示Der falsche Fritz@Potzdam Filmmuseum

開店休業中だったブログを唐突に再開します。

ポツダムの映画博物館を訪問。
目当てはホワイエ展示の Kollision im Kino: Mime Misu und der Untergang der "Titanic"。
タイタニック号沈没の直後に作られた世界初のTitanic映画を監督したMime Misuに関する展示で、8月12日が最終日だった。詳細はMichael Wedelの近著を参照とのこと。

Kollision im Kino: Mime Misu und der Untergang der

Kollision im Kino: Mime Misu und der Untergang der "Titanic"

なお今年はプロイセンのフリードリッヒ2世の生誕300年で、ベルリンでは様々な関連展示が開かれている。ポツダム映画博物館でもフリードリッヒ大王が登場する映画の系譜を追った特別展”Der falsche Fritz”が開催中だ。
Die Tänzerin Barberina(1919/1920)以降、数多くの映画でフリードリッヒ大王役を演じたOtto Gebührの個人資料に始まり、展示で取り上げられているフリードリッヒ映画の多くをその場で視聴できる。ナチ時代に製作された映画ではドイツ拡張政策の父としてのフリードリッヒが描かれており、Gebührのしゃべり方もなんだかナチ演説調になっているのが不思議。こちらは10月末まで。
http://www.filmmuseum-potsdam.de/de/432-0.htm

フリードリッヒ関連の展示では、サンスーシ宮殿のNeues Plaisで開催されているFriederisiko(http://www.friederisiko.de/)もかなり充実していた。

買い物。

”Diktatorengattinnen!" Pollesch@Volksbühne

「独裁者たちの妻たち」とでも訳すのだろうか。しゃべくり劇でノンネイティブにはなかなかきつかったが、周りの笑いのツボがゆるすぎないかと心配になるほど受けていた。東京で見たときも気になったのだが、プロンプターはいつもいるんでしょうかね(たぶん同じ役者)。

悔しいので次は予習をして見よう、という決意が覚めぬうちに買う。

Liebe ist kaelter als das Kapital: Stuecke Texte Interviews

Liebe ist kaelter als das Kapital: Stuecke Texte Interviews

ベルリン到着

4月1日より再びベルリンへ。

時差ぼけのなかStaatsoperで《ヴァルキューレ》。Guy Cassiersの演出には去年も唸ってしまったが、何度見ても非常に美しい。ただ、見直してみると第3幕のセットがやや安易に見える。これはジークフリートへの布石なのか否か。演奏は金管の粗さが目立ってしまうが、ここぞという時に音が集まってくるのはさすが。

《ルル》が楽しみだなぁ。初回は拍手とブーイングに2分されたようだ。

今学期終了

とりあえず1月が終わった。新国立劇場の『高野聖』や、新潟の県民オペラ『てかがみ』などの公演に行けなかったのは心残りだが、
忙しい週末が二つ続いても体を壊さなくて良かった。頭のなかを整理するのに精いっぱいだが、すさまじく多くの刺激を受けた。
『てかがみ』の公演も、盛況のなか終了したとの報告を知人から受けて一安心。こちらのオペラに関しては、来年6月末の国際学会PSI(http://psi-web.org/)でパネルの一部として発表する予定です。


備忘のために買物の記録。

豊饒の海 第二巻 奔馬 (ほんば) (新潮文庫)

豊饒の海 第二巻 奔馬 (ほんば) (新潮文庫)

豊饒の海 第四巻 天人五衰 (てんにんごすい) (新潮文庫)

豊饒の海 第四巻 天人五衰 (てんにんごすい) (新潮文庫)

豊饒の海 第三巻 暁の寺 (あかつきのてら) (新潮文庫)

豊饒の海 第三巻 暁の寺 (あかつきのてら) (新潮文庫)

鹿鳴館 (新潮文庫)

鹿鳴館 (新潮文庫)

久々に映画館へ行って『山本五十六』を観てきた。エンドクレジットで、録音技師を橋本文雄さんが務めているのに気づいて驚く。

発表します

すっかり遅くなりましたが、明けましておめでとうございます。
今年の初詣は浅草だった。お香のおかげか、年明けからぐずついていた喉も回復傾向。オムライスと電気ブランうまし。

今年最初の仕事です↓

日時 2012年1月21日(土) 14:00〜
場所 早稲田キャンパス6号館3階318室(レクチャールーム)
主催 西洋演劇研究コース オペラ研究会
概要 テーマ:「1920・30年代ドイツにおけるオペラ創作と映画的発想」 (仮題)

参加無料・事前予約不要

概要:20世紀に入るとドイツ語圏ではシュトラウスによる《サロメ》、《エレクトラ》のような一幕オペラ、《バラの騎士》のようなナンバー(風)・オペラにはじまり、ブゾーニの脱イリュージョン的な「オペラ」を経て、ヴァーグナー的な「楽劇」に代わる新たなオペラ(音楽劇)作品への模索が続いた。とりわけ第一次世界大戦後のドイツでは様々な形で「オペラ」というジャンルのあり方が問い直された。
 その中で大きな役割を果たしたものの一つとして、当時の新興メディアですでに大衆的な人気を博していた映画というジャンルの存在を挙げることができる。映画の登場により、既成オペラの映画化や舞台への映像の導入などでの上演の可能性が広がった一方で、モンタージュや巻き戻し効果、機械的再生などの映画特有の技術は、オペラ台本や作曲などの創作にも影響を与えた。
20〜30代のオペラ創作は、対抗メディアであった映画からのこうした影響を直接・間接的に取り込みながら刷新されていったと言える。本シンポジウムではR.シュトラウスシェーンベルクヒンデミット/ヴァイルという世代も作風も異なる1920、30年代のドイツ語圏で活躍したオペラ作曲家たちに焦点を当て、その作品の創作/上演において「映画的」発想が持っている意義を多角的に探っていきたい。


[発表者と題目]

広瀬大介氏(国立音楽大学講師) 
1920年代のリヒャルト・シュトラウスにおけるオペラと映画:「ばらの騎士」映画版と「インテルメッツォ」」
中村仁氏(GCOE研究生)
「パントマイム/サイレント映画/オペラ−1920年代のヒンデミット、ヴァイルのオペラ作品における「映像」と音楽」
白井史人氏(東京大学大学院博士課程、GCOE研究生)
「映画化という“上演”――シェーンベルクモーゼとアロン》とヴァーグナーパルジファル》」
http://www.enpaku.jp/event/host/event20120121.html

加えて幾つか買物の記録。

日本オペラ史 〜1952? 1953〜? 特別セット

日本オペラ史 〜1952? 1953〜? 特別セット

ベルリン音楽異聞

ベルリン音楽異聞

Wagner and Russia (Cambridge Studies in Russian Literature)

Wagner and Russia (Cambridge Studies in Russian Literature)